福岡地獄大喜利-跡地-

福岡地獄大喜利のアーカイヴと、たまに大喜利。

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19問:セミの社会を描いてるから一週間で出演者が全滅してしまった朝の連続ドラ。以降一年間どんな展開に?

タケルはユミコのことが好きだった。

いや、好きだったのではない。

愛していたのだ。


タケルがユミコに出会ったのは、
ユミコが成虫になって3日目のこと。
タケルはユミコのそのまばゆいばかりの美しさに魅せられて
たちまち恋に落ちた。

セミの一生は短い。

タケルはすぐにユミコに話しかけた。
ユミコもはじめは「なにこいつ!変なヤツ!」と思っていたが、
タケルが自分に向けてくるその真っ直ぐな情熱を感じ、
いつしか心を許すようになっていた。

それからタケルとユミコはずっと一緒に過ごした。

たった5日の間の恋。
でも、一生分の恋。

7日目。
正午を少し回ったころ。
真夏の日差しが燦々と降り注ぐポプラの木の下で
ユミコは息を引き取った。

タケルは泣いた。
タケルは大声で泣いた。
道を行く人々が訝しげに彼を横目で見ては、過ぎ去っていった。
それでもタケルは構わず泣いた。

26歳。
初めての恋だった。

これから先、
何十年という時間を、
ユミコのいない時間を、
タケルは生きていかなければならない。

わかっていた。
こんな日が来ることは。
でも、ぶざまに生き残ってしまった自分の姿は、
どうにも許しがたいものであった。
いっそのこと死んでしまおうかとも考えた。
できなかった。
自分が死んでしまうことは、
自分の中にいるユミコも一緒に殺してしまうということだ。
生きなければ。
生きて、生きて、生きて、
彼女がそこにいたということを、
ユミコという名の一匹の美しいセミがいたことを、
忘れずに生きること。
それが自分の存在意義なんだと感じた。

もう恋なんてできない。
でもそれでいい。

そう自分に言い聞かせ、
タケルはサラリーマンとしての日常に帰っていった。

仕事漬けの毎日も、
ユミコが共にいてくれていると思えばつらくない。
そう思えていた。
しかし、知らず知らずのうちに
虚しさはつのっていた。
食欲は減退し、タケルは日に日に痩せていった。
ついには仕事中に倒れ、病院に運ばれてしまった。
会社からは、当分入院して療養するように伝えられた。
3月の終わり。
会社としては一番忙しい時期で、
タケルは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

4月になった。
10日間の入院を経て、
タケルは久しぶりに出社した。

と、
タケルの目に一人の女性の姿が飛び込んできた。



semi.jpg



タケルが休んでいた間に入社した新入社員の女の子だそうだ。
タケルがなんとなく彼女のことを見つめていると、
彼女がふとこっちを見て目が合った。
彼女はニコッと笑った。
タケルは一瞬戸惑いながらも、ニコリと微笑み返した。


その瞬間、タケルの耳元でセミの羽音が聞こえた。

「かわいい人ね。がんばってね。」

そう聞こえた気がした。




そんな話。




inspired by 稲川淳二「紫のワンピース」
http://www.youtube.com/watch?v=KZlAcdZbBsw
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  1. 2013/07/14(日) 17:43:18|
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